知って得する病気の話_糖尿病と新型コロナウイルス感染症(糖尿病代謝内科)
[2021年12月8日]
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現在世界で4億人以上、日本でも1000万人の患者が推定される糖尿病は、高血糖により体中の血管や内臓の細胞が少しずつ障害され、悪化すると心筋梗塞、脳梗塞、足の壊疽などを引き起こし生命の危険にさらされます。
2020年初頭から世界を巻き込むパンデミックとなっている新型コロナウイルス(COVID-19)に糖尿病患者が感染しやすいというデータはありませんが、かかると死亡率が高い事が知られています。糖尿病患者さんは白血球の動きが悪く細菌やウイルスの貪食能力が弱くなるため危険な状態に陥りやすいのです。ただし、厳格に血糖管理を行えば死亡率を大幅に抑えることもわかってきており、日頃からの血糖管理が重要です(図1)。
図1
インスリン治療と血糖測定の進歩
糖尿病の治療に使われるインスリンの中に速効型インスリンがありますが、超速効型インスリンと呼ばれる製品もあります(ヒューマログ、ノボラピッド、アピドラ)。天然のインスリンのアミノ酸配列を一部変える事で効果の発現を早くして食後高血糖を防いでくれますが、最近ではそれらの製品に血管拡張薬を加える事でさらに効果を早めた製品も登場しています(フィアスプ、ルムジェブ)。食後に打っても血糖を抑えられるようになっており従来食後高血糖を抑えられなかった患者さんに役立っています。
また血糖測定も指先から血液を出して測る血糖測定器に加え、上腕に設置するだけで24時間の血糖を測れる商品が広まってきています(図2)。
図2
さらに血糖変動が不安定な患者さんに使われるインスリンポンプ(時刻毎に量を変えながらインスリンを注入する)に血糖測定器を同時に取り付け、低血糖になる手前で自動的にインスリンを止める機器も登場し、患者さんにとって強い味方になっています。(図3)
図3
1921年にバンティングとベストがインスリンを発見して今年は100周年。ますます便利な治療薬が出て多くの患者さんの生活を支えています。
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