せぼねの病気について(整形外科)
[2022年4月7日]
ID:710
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近年は高齢化社会が到来し、骨や関節、筋肉など運動器疾患を扱う整形外科の患者様も増加しており、特に自立での活動が困難になっている方が増えております。
運動器疾患の中でも特にせぼね(脊椎)は変性をきたしやすくさまざまな症状を引き起こします。主に腰痛や頸部痛、手足の痛みや痺れ、運動障害を生じます。脊椎疾患が疑われる患者様は外来にて診察を行い、レントゲン、MRI、CT検査、骨密度検査などを行い診断していきます。
今回はそのせぼねの病気について詳しくご紹介させていただきます。
脊柱管というのは脊椎や椎間板、靭帯に囲まれた脊髄(神経の集まり)の通り道のことを言います。これらが加齢とともに変化し、神経の通り道が狭くなり神経の血流が低下するために症状をきたします。これを腰部脊柱管狭窄症といいます。主な症状は歩くと足の痛み、痺れが生じ歩行困難となる(間欠性跛行)や排尿排便障害があります。安静時には症状がないことが多いですが、進行すると安静時にも症状が現れてきて足の痛みから動けなくなることがあります。
加齢により首の骨(頚椎)や椎間板に変形が生じ脊髄の通り道や神経根の圧迫が生じます。それに伴い手指の動かしにくさ(箸が使えない、ボタンがかけられない)や痺れ、歩行障害(スムーズに脚が運べない)、排尿障害が出現します。神経の圧迫が強い場合は上下肢の筋力低下、上肢の疼痛が出現します。
首の痛みや腰痛にはカラーやコルセットによる装具療法、手足の痺れ、痛みなどには消炎鎮痛剤、ビタミン剤などの内服といった保存治療を行います。 しかしながらこういった保存治療を行っても取れない痛みや、手の使いにくさや歩行困難、排尿排便障害などが出現し症状が進行性の場合は手術加療が必要となります。次に当院での最小侵襲の手術加療をご紹介します。
頚髄症に対する頚椎手術
頚部の後方に約3cmの皮膚切開を加えます。顕微鏡下に首の骨に溝を掘り、神経の通り道を拡大して神経の圧迫を取ります。小さい傷で手術を行うので術前の散髪が不要であり、術後カラーによる固定期間も入院中のみ行います。術後の痛みが小さいため1週間程度で退院できる患者様が多いです。
腰部脊柱管狭窄症に対する内視鏡下腰椎手術
腰部後方に皮膚切開を加え内視鏡下に腰の骨をハイスピードドリルで削り神経の圧迫を取ります。神経の圧迫が1か所であれば約2.5cmの皮膚切開で手術を行ってます。術後の腰痛も少なく10日間程度の入院で退院できる様に努めております。
脊椎の手術と聞くと神経を触るため危険である、侵襲が大きく痛みが強い手術と思われている方が大変多くみえるかと存じ上げます。
当院では安全性への取り組みとして術中脊髄モニタリング、手術用顕微鏡、ナビゲーションシステム、内視鏡などの小切開で手術を行うための手術器具を導入し安全かつ低侵襲な手術治療を心がけております。高齢者や重度な持病がある患者様は術後ICUでの徹底した管理を行ってます。当院はICU医師が常に院内待機しており急な病状変化に対しても迅速に対応できる診療体制が整っております。
当院では脊椎外来(毎週木曜日)を開いております。脊椎疾患により生活に支障が生じている方や脊椎疾患を疑う症状のある方がみえればかかりつけ医に相談し当院への受診を希望してください。今後も皆様のお力になれるように尽力しますので何卒よろしくお願い申し上げます。
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