知って得する病気の話_爪の病気について(皮膚科)
[2020年4月2日]
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爪の変形、色の変化や痛みなど、意外と多い爪のトラブルですが、特に足の爪などはなかなか人目につきにくい場所なので、誰にも相談できずにいる方が多いと思います。また、そのようなトラブルに気づいてもどこで治したらよいか知らない方がほとんどではないでしょうか。ここでは当院の皮膚科で取扱っている爪の病気について少し詳しく見ていきたいと思います。
【爪水虫】
最近はテレビコマーシャルなどでも耳にする「爪水虫」ですが、実際には白癬菌というカビの一種が原因でおこる病気です。通常、白癬菌は皮膚のたんぱく質を主な栄養源にして、人間と共生していますが、じめじめした環境や小さな傷などをきっかけに爆発的に増えてしまい、バランスが崩れることで発症します。そしてそのまま放置していると爪の下の皮膚にも感染が拡大し、爪水虫になってしまいます。爪が白く濁ったり厚くぼろぼろになったりするのが特徴です。日本皮膚科学会の行った調査では、自分が爪水虫ではないと思っている人の10人に1人が爪水虫であったという驚きの結果がでました。爪水虫は通常の水虫用の薬を外用しても効果がないので、病院を受診して、飲み薬か爪水虫専用の外用液で治療する必要があります。
【爪甲鉤彎症(かぎ爪・肥厚爪)】
特に足の親指に多い病気です。爪が何層にも重なって厚くなり、前方にフックのように彎曲(わんきょく)している状態を爪甲鉤彎症といいます。
昔は指先のケガや、抜爪手術、先端の狭い靴などが原因となることが多いとされていましたが、最近ではしびれなどで足に力の入らない方や、ほとんど歩行をされない高齢の方でも多くみられます。これは指先に正しく力が加わらないことが原因で、指先の皮膚が盛り上がったり、痩せてしまったりして起こります。時に爪水虫と間違えられることがありますが、爪甲鉤彎症では爪が固く厚いことが特徴です。治療は根本の正常な爪だけを残して平坦に削り取り、1年ほど紙テープで矯正を加えることで正常な形に戻すことが可能です。
【緑色爪(グリーンネイル)】
爪が緑色に染まるのは「緑膿菌」という細菌が原因です。緑膿菌は湿った環境を好むので、爪が剥がれたところや、ネイルアートの隙間などに侵入し繁殖すると、緑色爪になります。爪の表面に起きた場合はネイルアートなどを除去し、約2週間しっかりと洗うことで自然に治ることがほとんどですが、変色はしばらく残ることがあります。剥がれた爪の下に緑膿菌が侵入してしまった場合は、なかなか厄介ですが、まずは爪が剥がれた原因を治療することが大切です。この場合は完治までに半年から1年ほどかかります。
【巻き爪】
これも足の親指に多い爪のトラブルですが、時々その他の指にも起こります。若い女性に多いため、以前はハイヒールが原因ではないかと考えられていましたが、最近の研究では指先に正しく力が加わらないことが原因で起こることがわかってきました。適切でない靴の着用以外にも、外反母趾などの足の変形や、爪の伸ばしすぎで起こることがあります。爪を先端からみると「つ」の字や「の」の字の形に巻いた状態になり、歩行時に痛みを伴うようになります。悪化すると何もしていないときでも痛みを感じます。治療は爪に穴をあけて特殊なワイヤを通すことで正しい形に矯正します。ワイヤは医療材料ではないため、保険適応外の治療となります。爪の先端に市販の金属製の器具を取り付けて治療する方法もあります。ただしあくまでも矯正の治療になるため、治療終了後も再発を予防する日頃の取り組みが必要です。
【陥入爪】
爪の角が周囲の皮膚に食い込んで、炎症を起こして腫れて赤くなる病気です。悪化すると爪の側面がジュクジュクして出血しやすい「肉芽」を伴い、非常に強い痛みがあります。巻き爪と合併することがありますが、本来は巻き爪とは別の病気です。そのほとんどは爪の不適切な切り方が原因でおこります。時に、爪の側縁を切り残して「爪棘」となっていることがあります。痛みを和らげようと、さらに爪を切りこむ方がおられますが、一時的には痛みが取れるものの、一層重症化させてしまいます。爪が短いことが原因で起こりますので、切ってしまった爪をアクリル人工爪で補填し、元の長さに戻すことで治ります。肉芽は細菌感染と間違えやすい症状ですが、消毒したり抗生物質を内服したりしても効果がありません。
【爪のトラブルの予防法】
これらの爪のトラブルの多くは、正しい爪の切り方を実践することで予防することができます。手の爪は丸く指のカーブに沿って、白い部分を1mmほど残す切り方が適切です。足の爪は、スクエアオフといって、指の長さより少し短めに真横に切り揃え、爪やすりなどで角を削った形が最適です。また、乾いた爪は割れやすいため、お風呂上りなど水分をたくさん含んだ状態で切るようにしましょう。
●爪外来 毎週火曜の午後(完全予約制)爪外来の受診を希望される方は、まずは通常の外来を受診して治療の適応等についてご相談ください。
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