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緩和ケア

緩和ケア外来を見る

私たちが考えている緩和ケア病棟とは…

緩和ケア病棟は、痛みなどの身体的苦痛が強くなり、緩和ケア外来の診療だけでは十分な対処ができなくなってきたがん患者さんや、手術や抗がん剤治療といった従来的な治療が困難になった患者さんが入院するための病棟です。ここでは身体症状の緩和はもちろんのこと、患者さんや家族の思いを尊重しながら、その人らしさを大切にしたかかわりをしていきます。入院してくる患者さんの中には、まだあきらめたくない、何とか治療を続けてほしいと思っている人もいれば、最後の時間を大切にしながら充実した日々を過ごしたいと思っている人もいます。治りたいという「希望」を持っている患者さんには、可能な限り治療的な関わりを続けていきます。また「安らぎ」を求めている患者さんには、最後まで心地よく過ごせるようできるだけの援助をしていきます。このような援助の仕方が、患者さんの思いに寄り添った関わりであると私たちは考えています。

7つの基本方針

緩和ケア科7つの基本方針 当院緩和ケア病棟では、「安らぎ」と「希望」を中心テーマに据え、それを実現するために右のような7つの基本方針に基づいて治療やケアに当たっています。

代替医療について

代替医療とは、現代西洋医学の領域には入らない医学・医療体系、健康法の総称であり、実際には様々なものがあります。一般的にはリラクセーション効果を目的としたアロマセラピーや音楽療法といったものがよく用いられていますが、私たちは最後まで治療的かかわりを希望する患者さんのために、少しでもがんの進行が抑えられることを期待して治療的代替医療も必要に応じて用いています。この試みは一般の緩和ケア病棟ではあまり行われていないことであり、私たちの緩和ケアに対する独自の考え方に基づいて行っているものです。

では当院の緩和ケア病棟で取り入れている代替医療について簡単に紹介させていただきます。

1.アロマセラピー

写真:アロマセラピー

アロマセラピー

香りの精油(エッセンシャルオイル)を使って、1回15〜30分程かけて手足や体のトリートメント(マッサージ)を行っています。リラクセーションが主な目的ですが、手足のむくみに対してもとても有効です。他にも足浴やアロマポットを使用したアロマセラピーも行っています。最もポピュラーな代替医療のひとつであり、患者さんからはとても好評です。

2.リフレクソロジー

写真:リフレクソロジー

リフレクソロジー

いわゆる足裏マッサージとしてよく知られている療法です。足の裏には各臓器に対応する反射区があり、そこを刺激することで血液やリンパ液の流れを改善させ、諸症状の緩和や心身のリラクセーション効果をもたらします。アロマセラピーと併用しながら行われることもあります。

3.ヒーリング・タッチ

写真:ヒーリング・タッチ

ヒーリング・タッチ

いわゆる手当・手かざし療法ですが、宗教とは無関係です。アメリカではセラピューテック・タッチとして看護師の15%がこの療法を学び実践していると言われており、またイギリスではスピリチュアル・ヒーリングとして普及しており、健康保険の適応にもなっています。また中国の外気功とも共通点があります。当院では各種症状の緩和や心身のリラクセーションを目的として行っています。

4.タッピング・タッチ

写真:タッピング・タッチ

タッピング・タッチ

タッピング・タッチとは、指先の腹の所を使って左右交互に軽く叩く(タッピングする)ことを基本とするシンプルな技法です。体に響くリズミカルな振動がとても心地よく、リラクセーション効果も高いので患者さんからも評判です。またとても簡単な方法なので誰でもすぐにできるようになるというのも特徴のひとつです。

5.カラーセラピー

写真:カラーセラピー

カラーセラピー

カラーセラピーには様々なものがありますが、当院で行っているのはいわゆる「ぬり絵」です。簡単な下絵があり、患者さんがそれに自由に色を付けていくという単純なものですが、これが意外と人気があります。簡単にできることやちょっとした満足感や達成感が得られること、カラーセラピストとの語らいを通して、楽しいひとときが過ごせることなどが人気の要因かもしれません。

6.音楽療法

写真:音楽療法

音楽療法

昔の懐かしい曲や心が癒される曲などを、エレクトーンなどの演奏を伴奏にしてみんなで楽しく歌うという形式のものです。もちろん歌を聴いているだけでもよいのですが、歌うことが好きな患者さんにとってはとても楽しみな時間となります。もちろんリクエストにも応えてくれます。

7.アニマルセラピー

写真:アニマルセラピー

アニマルセラピー

月に2回くらいですがモモちゃん(ゴールデンレッドリバー)が病棟に来てくれます。とてもおとなしく、吠えたりすることもありません。犬好きの患者さんのところに行っては、そこでみんなから撫でまくられています。患者さんもこの時ばかりはとてもよい笑顔になり、みんなをハッピーな気分にさせてくれます。スタッフもみんな、モモちゃんが来るのを楽しみにしています。

治療的代替医療

8.治療的代替医療

緩和ケア病棟に入院してくる患者さんの中には「まだあきらめたくない」という思いを持っている人も少なくありません。特に50才代までの若い人は、そのような思いを持つのも無理はありません。しかし現実的には手術や抗がん剤などによる治療はすでに困難な状況にある場合がほとんどです。このような場合には、本人の自己治癒力を刺激し、それによって可能な限りがんの進行を抑えるようなアプローチ、つまり治療的代替医療が最も適していると考えています。ほんのわずかであったとしても、最後まで望みを持ち続けたいと思っているのであれば、やってみる価値は十分にあると思っています。たとえうまくいかなかったとしても、最後まであきらめずにがんばりたいという思いだけは大切にできたと言えるのではないでしょうか。

そんな患者さんの思いに寄り添うために、私たちは希望に応じて治療的代替医療を取り入れています。具体的には以下のようなものをよく用いています。

  1. 丸山ワクチン

    結核菌の抽出物から作られているもので、すでに40年以上の歴史があります。作用としては白血球を活性化させ、がん細胞の分裂を抑制します。またコラーゲンを増強させることで損傷した細胞を修復するとともに、がん細胞を包み込み、その増殖を抑え込むとも言われています。しかし他の治療的代替医療と同様、効果に関してはまだはっきりとした証明がされていません。ただ経費的には1ヶ月1万円以下と安価であり、また週3回の皮下注射ですので、経口摂取ができない患者さんにも使うことができるという利点があります。そのため、少なくとも患者さんのQOL(生命・生活の質)を高め、維持するのには有効であると考えています。

  2. ホメオパシー

    ホメオパシーは200年以上の歴史をもつ代表的な代替医療のひとつですが、日本ではまだほとんど知られていません。患者さんの症状や心理状態などの情報をもとに、ひとつのレメディ(ホメオパシーの薬)を決定し、それを処方することで患者さんの症状を改善しようとする方法です。ホメオパシーの考え方は、西洋医学のように症状を抑え込むというものではなく、何かしらの理由で十分な力を発揮できなくなっている自己治癒力が、再び本来の力を発揮できるように援助するというのが基本的な発想です。ヨーロッパなどでは大変ポピュラーな療法であり、フランスやドイツなどはすでに医療の中に組み込まれ、保険の適応にもなっています。

    治療的代替医療
  3. 種々の健康食品

    健康食品やサプリメントには多種多様なものがあり、どれがよいのかは各人によって異なります。ただしどれも科学的根拠に乏しいのは事実です。しかしどんな治療法でもそうですが、絶対に効くという治療法がないのと同様に、絶対に効かないという治療法もありません。私たちはどんな治療法にでも可能性はあると考えています。ただしむやみやたらと健康食品を利用することにはあまり賛成はしませんし、またあまり高額なものはお勧めしません。人にもよりけりですが、自分と相性のよさそうなもの1〜2種類を選び、月平均3〜5万円程度を上限に利用していただくのが良いのではないかと考えています。

  4. サイモントン療法
    カール・サイモントン博士と

    カール・サイモントン博士と

    サイモントン療法はカール・サイモントン博士(米)により開発された、がん患者さんとその家族(パートナーなど)のためのヒーリングプログラムです。30数年にわたり改良を加えて発展し、現在はアメリカ、ヨーロッパ、日本で提供されている療法です。 この療法は、カウンセリングやグループ療法を通して、がんに対する間違った思いこみを修正したり、人それぞれが持っている肯定的な側面を引きだしたりすることで、感情の安定を図ろうとするものです。なおイメージ療法も、このサイモントン療法に中に取り入れられている手法のひとつです。

  5. その他

    上記のもの以外にも様々な治療的代替医療があります。今まで行ったことのある治療的代替医療としては漢方薬、アミグダリン(点滴)、ビタミンC大量療法、玄米菜食、腕振り運動、WT1ワクチン、リンパ球療法、ハイパーサーミア、イメージ療法などがあります。これらのものを患者さんの状態や希望なども考え合わせながら取り組んでいます。

心の治癒力について

治療的代替医療には多くのものがありますが、実は最も大切にしているのは患者さんが持っている「心の治癒力」です。人は誰でも自分を癒す力を持っています。つまり患者さん自身が心地よさや充実感、満足感、達成感、さらにはイキイキ感を持つことができたならば、それは自己治癒力を刺激し、がんの進行を抑制することも可能だと考えています。しかしただ単に前向きな気持ちを持ちなさい、と言ってもそれは困難です。そうではなく様々なつながりや代替医療を利用することで、自ずとそのような思いが持てるように関わっていくことが大切だと考えています。私たちが様々な代替医療を駆使しているのも、根底には「心の治癒力」をうまく引きだしたいという思いがあるからです。

研修医の皆さんへ

当院緩和ケア科では研修医も受け入れています。疼痛コントロールや精神的なケアといった緩和ケアの基本はもちろんのこと、他の緩和ケア病棟では学べない治療的代替医療や患者さんの「心の治癒力」を引きだすようなコミュニケーションスキルなどを学ぶことができます。また緩和ケアの研修を中心に行いながら、週に1〜2日は他科の研修もできるようなシステムも考えています。詳細に関しては、緩和ケア病棟の黒丸までご連絡下さい。

スタッフ紹介

スタッフ紹介
黒丸 尊治 部長:黒丸 尊治
昭和62年卒業
日本心身医学会指導医
専門領域:緩和ケア、がんの心身医学
田村 祐樹 非常勤医師:田村 祐樹
昭和63年卒業
専門領域:緩和ケア、在宅ケア、食道外科

参考図書

黒丸尊治著「緩和医療と心の治癒力」(築地書館)

黒丸尊治著「心の治癒力をうまく引きだす」(築地書館)

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