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知って得する病気の話_糖尿病とアルコールのはなし(糖尿病代謝内科)

[2019年1月4日]

ID:506

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知って得する病気の話

糖尿病とアルコールのはなし

菱澤 方洋(糖尿病代謝内科)

お酒は高カロリー 肥満の原因に
 アルコールに含まれるカロリーは1gあたり7kcalで、脂肪の1gあたり9kcalに次ぐ高カロリーの食品です。カロリーのみで栄養成分はほとんど含まれません。 はじめは「少し」と思っていても、つい飲みすぎてしまうのがお酒です。食欲も同時に増し、食べ過ぎて肥満の原因になります。

図1

純アルコール量で約20gが限度
 
厚生労働省の指針では、1日のアルコール摂取量の目安を、純アルコール量で約20g程度だとしています。これをアルコール飲料に換算すると、ビールは中瓶1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、焼酎は0.6合(100ml)、ワインはグラス2杯(180ml)、缶チューハイは1.5缶(520ml)となります。 一般的に、純アルコール量で約20gを限度とするのが上手なお酒の飲み方といえるでしょう。酩酊状態となることなく、お酒を楽しみたいものです。

図3

「糖質ゼロ」でもカロリーは「ゼロ」ではない
 「糖質ゼロ」「カロリーオフ」といった表示をしたビールや発泡酒などの酒類が店頭をにぎわしています。しかし「糖質ゼロ」と表示してあっても、カロリーは「ゼロ」ではないので注意が必要です。


図3

寝る前の飲酒は睡眠の質を下げる
 アルコールは寝つくまでの時間を短縮させるので、睡眠薬がわりに飲酒されている方は多いでしょう。しかし、就寝前に飲んだアルコールは、睡眠の後半部分を障害することが知られています。つまり、寝つきは良いが夜中に目覚めてその後なかなか眠れない「中途覚醒」が起こりやすくなるのです。

アルコールは血圧を上昇させる
 適量のお酒を飲むと、一般的に血圧が低下します。しかし、大量に飲み続けると、血管の収縮反応が高まり逆に血圧は上昇します。毎日の飲酒量が多い人ほど血圧の平均値が高く、高血圧のリスクが上昇することが多くの研究で確かめられています。

アルコールの糖尿病に対する影響
 アルコールはアルコールそのものの作用やアルコールの代謝に伴って、血糖値に影響を与えます。長年の多量飲酒により肝臓や膵臓に障害が加わると、コントロールが難しい糖尿病となるため、糖尿病患者さんは習慣的な多量飲酒は控えるべきです。また、インスリン注射や経口血糖降下薬で糖尿病治療をうけている方は、低血糖が起こりやすくなるので食事を摂らずに飲酒をすることは避けるべきです。注意点として、アルコールで低血糖がおこりやすくなるからといって、アルコールで血糖のコントロールが良くなるわけではありません。低血糖がおこりやすくなるのは短期的な話であり、長期的には過度な飲酒は内臓脂肪の源です。

お酒と上手につきあうことが必要
 「酒は百薬の長」と言われ、飲酒は日常生活でさまざまな行事と深いかかわりを持っています。疲労の回復やストレスの解消、あるいは人間関係を円滑にするなど好ましい影響を与えてくれます。ただしその効果は適度な飲酒を守ることで得られるものです。