ページの先頭です
メニューの終端です。

知って得する病気の話_頭痛のはなし(神経内科)

[2018年10月2日]

ID:457

ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます

知って得する病気の話

頭痛のはなし

上古 眞里(神経内科)


【はじめに】

 頭痛に悩まされている方は結構多いのではないでしょうか。時々痛いだけだから、ちょっとの間我慢したら治るから、市販薬を愛用しているけれど飲んだら効くからなどの理由で一度も医療機関を受診されたことがない方も沢山おられると思います。今日はこの頭痛持ちのことについて話をしていきます。

【頭痛の種類】

 脳やからだに異常がないのに何度も起こす頭痛のことを一次性頭痛と言います。一次性頭痛の代表的なものとして片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛があります。 頭痛持ちと言っている方はこのどれかに当てはまることがほとんどです。

 一方、二次性頭痛とは脳腫瘍が脳出血などに伴って突然起きて来る頭痛で場合によっては命に関わるものです。  吐いたり、意識が朦朧(もうろう)としたり、手足が麻痺したりなど他の症状もともなってきますのでこういう場合はすぐに病院を受診しましょう。

【症状】

・片頭痛

 脈をうつようなズキズキとした痛み、時に吐き気があったり吐いたりします。頭の半分だけが痛くなるとは限らず全体に痛いこともあります。 何もしないと4時間から72時間続きますが、案外痛くても眠れることが多いです。 生理周期にあわせて起きたり、週末などの緊張から解き放たれた時に起こるのが特徴です。痛みがある間はちょっとした物音にイライラしたり、光がやたらと眩(まぶ)しく感じることがあります。一部の人は頭痛が起きる前に閃輝暗点(せんきあんてん)と言って目の前がキラキラして見えにくい部分が出ます。また変視症と言って見ているものが小さく見えたり大きく見えたり歪んで見えたりすることがあります。 不思議の国のアリスの世界で描かれている状態です。

・緊張型頭痛

 首から後頭部の締め付けられるような痛みが続きます。 肩が凝っていると自覚していることが多いです。 頭が重いなあとかハチマキで締め付けられるようだとかヘルメットを被っているようとか表現されることもあります。 身体がふわふわするめまいや、目の疲れ、身体全体のだるさを感じる人も多いです。 痛みで日常生活に支障をきたすほどのことはありません。 朝起きた時より夕方疲れてきたときのほうが症状がきつくなります。

・群発頭痛

 突発的に目や目の上、こめかみにえぐられるような激しい頭痛が起こります。痛い方の目が充血したり涙が出たり鼻水が出たりします。夜中に起こることが多く、一から二ヶ月、ほぼ毎日15分から3時間発作が起こります。 年に一から二回の人から数年に一回しか起こらない人もいます。  飲酒がきっかけになることが多いです。患者さんの多くが男性で、あまりの痛さに救急搬入されることもあります。 あまりの痛さで泣いているように見えますがよく見ると片方の目からだけ涙が出ています。

図5

【診断】  

 採血、頭部CTやMRI検査で身体が頭の中に異常がないか確認します。一番大事なのは問診です。  いつから、どんな時に、どんな症状が起こりどれくらい続くか、家族に同じ症状の人がいないか、食事やお酒、タバコの習慣など、ちゃんとメモしてから受診していただくことが大事です。

【治療】

・片頭痛

 軽い発作の時は市販の痛み止めでも効果があります。 きついときはトリプタン製剤が処方されます。 吐き気がきつくて服用が難しい発作の時は点鼻や注射(自己注射)製剤もあります。  発作の頻度が多い時は予防薬が処方されることもあります。誘因になる生活習慣が分かってくるとそれを避けることだけで発作が起こらなくなる人もたくさんいます。


・緊張型頭痛

 読んで字のごとくですが、筋肉が常に緊張した状態になり頭痛がおこります。薬としては鎮痛剤(市販のものも含めて)、や筋肉を弛緩(しかん)させたり、気分を落ち着かせる薬を使用します。姿勢が悪かったり、長時間デスクワークをする人は起こりやすいので定期的にストレッチや運動をするのは予防に役立ちます。 また目が疲れても起こりやすいので目を休ませる、ホットタオルを置くというのも効果があります。  これからの季節エアコンで肩が冷えますからシャワーだけでなく湯船に浸かるだけで頭痛がおさまることもあります。

・群発頭痛

 発作の時は酸素吸入、トリプタン製剤を使用します。発作が続いている間は絶対に禁酒です。  予防薬としてワソランやステロイドなどを使用します。

最後に

  頭痛は身近な疾患なので病院を受診されないことも多いです。 軽度であれば問題ないのですが中には薬を使いすぎている場合があります。そうなると薬の過量服用による頭痛が起こることがあります。 また、わざわざ頭痛を悪化させる生活を続けているために辛い思いをしてしまっていることもあります。 気になる場合は神経内科を受診してください。