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脳神経外科だより-クモ膜下出血は予防できるか?その4-/病院からのお知らせ

[2017年6月23日]

ID:111

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脳神経外科だより-クモ膜下出血は予防できるか?その4-

その4:手術とは?

脳動脈瘤は文字通り瘤のような形をしていることが多く、出血を予防するためには、瘤の首の部分(付け根)を専用の金属製クリップで挟んでしまうのです(クリッピング)。完全にクリッピングできれば、まず出血の心配はありません。しかし、中には不規則な形をした脳動脈瘤があり、周囲の血管を痛めないために瘤の一部だけをクリッピングをしたり、瘤の周りをボンドで固めるだけにせざるを得ない場合もあります。このような場合には、僅かながら出血する可能性が残ります。また手術を行っても、新たに脳動脈瘤が発生することがありますが、1%程度に過ぎません。
ちなみに当院の脳動脈瘤の手術件数は、平成9年度;32例、10年度;30例、11年度;16例、12年度;14例、13年度;16例を行っており、本年度はこれまでに15例の手術を行っています。この手術件数は、中規模の基幹病院としては平均的な数と言えます。
手術以外では、脳動脈瘤の治療としてカテーテルを使った血管内手術が発達して来ています。手術に比べて幾つかのメリットがあるのは確かですが、まだ歴史が浅く、その評価はこれから確立されていくことでしょう。日本では、まだ血管内手術を行える医師の数そのものが少ないのが現状です。

知っておいていただきたいこと

以上はあくまで現在の一般的な治療方針です。しかし、合併症、後遺症の発生率が1%未満でも、起こってしまえば患者さんや家族にとっては100%のことなのです。また、なかなか数字だけで決められない要素も多く、脳神経外科医自身でも治療方針の決定に悩むことが多いのです。正確な知識を得たうえで、医師と十分に話し合い、家族を含めて十分に考え、納得してから手術を受けるかどうかを決めることが大切です。このことは脳動脈瘤の検査を受ける前から考えておくべきで、もし発見されて手術を受けないとなると、不安だけが残ることになりかねないからです。