脳神経外科だより-クモ膜下出血は予防できるか?その1-/病院からのお知らせ
[2017年6月23日]
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クモ膜下出血とは、脳の表面を覆っているクモ膜という膜の内側に沿って出血が拡がる病気です。脳卒中のひとつですが、他の脳卒中(脳内出血や脳梗塞など)とは次の点が異なります。
「病気知らずで元気な働き盛りのお父さん、お母さんが急に死んでしまったり、一人で生活できないほどの後遺症を抱え込んでしまう」のがクモ膜下出血の恐ろしいところです。また、出血の前兆がなく、一般的な健康診断では異常のない人が発症することがほとんどであり、予防の難しい病気でもあります。
統計を見ても、出血直後に40%が死亡、残りの60%が病院で治療受けられるものの、その内25%は死亡または重い障害を残し、社会復帰できるのは全体の35%程度に過ぎません。もしも治療しなければ、最終的には70~80%が死亡するという統計もあります。病院に来た時点で既に半分以上の人が手の施しようのない状態にあり、我々脳神経外科医が治療を行えるのは、残りの幸運な患者さんだけなのです。治療の進歩にも拘わらず、依然としてクモ膜下出血の死亡率が高い理由はここにあります。今後もこの成績はあまり変わらないと予想されています。
一方で、いったん出血するとやっかいな病気だけに、あらかじめ出血しないよう処置をする、つまり予防的な治療が行われ始めています。クモ膜下出血の原因は、9割以上が脳動脈瘤の破裂によるものなので、これを未然に発見し手術によって治療してしまえば、もう出血の心配はなくなり、ひいてはクモ膜下出血の発生数を減らせるのではないかと期待されるのです。
続きはその2をご覧ください。
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